澄んだ体、澱んだ体(按摩的感触)
上の図は、それぞれ「澄んだ体」と「澱んだ体」に触れた感触のイメージ図。
人の体に触れた感触は、ほんと、こんな感じです。
人はほとんど水で出来ていますから、「澄んだ体」はサラサラの綺麗な水。
なのですが、体が澱んでくると水の流れが濁ってきてドロドロになり、それが進むとほぼ固体のように硬くなります。
一般的には、この硬くなった状態を「凝り」と呼びますが、個人的には澱んだ状態も共に「凝り」と呼びます。
ちなみに、人体で「凝る」といえば筋肉だけを思い浮かべるかも知れませんが、皮膚や皮下脂肪、筋肉、骨膜や骨など、身体組織全般に渡って凝ったり澱んだりします。
水がサラサラだと感覚も生き生きとしていますが、澱んでくると澱みの度合いによって感覚も鈍くなります。
すみずみまで感覚が行き渡っていると体はとっても軽く感じますが、感覚が鈍くなるとその分「自分の体」的感覚が失われるわけですから、重~く感じるようになります。(これが常態化して当たり前になっていると、その重さも感じなくなります)
腕の感覚・左右差(実験)
などという説明を聞いても、今ひとつ実感的に分からないかも知れないので、ひとつ実験。
1.さする前の確認
まずは、立って目を閉じます。
そして両腕を感じてみましょう。
左右の腕は、今どんな感じでしょう。
左右の腕の感じに、違いはあるかないか。
多くの人にとって、左右の腕の感覚にそれほど違いはないと思いますが、その両方の腕の感覚、感触を覚えておきます。
2.片腕をさする
次に、立ったままでも座ってもいいですから、片方の手でもう一方の手をさすりましょう。
例えば左手で右手をさするとします。
最初は、両手をこすり合わせるようにし、しばらくさすったら今度は右手の甲をさすります。
右手の甲をさすり、右手首の甲側に上がってさすり、さらに右肘まで上がって甲側の腕全体に渡ってさすっていきます。
右手の甲側を肘までさすったら、今度は右手の手の平からはじめて、さっき同様に手の平側の肘までをさすります。
要するに「肘から下の、手から腕までを丁寧にさする」という試み。
もし気持ちよい場所やもっとさすってみたい場所があったら、気の向くままにさすってみましょう。
往復的にシュッシュッと素早くさすってもいいですし、往復的にそろりそろりと優しく丁寧にさすってもよいです。
(個人的に落ち着きのない人なので(^^ゞ、ぼくはシュッシュッ派です)
3.さすった後の確認
一通り片腕をさすったら、もう一度立って目を閉じ、両腕の感覚を確かめてみます。
もちろん感覚には個人差がありますから、全員が感じるというわけではないですが。
上のイメージ図、実感としてわかりません?
さすった方の腕の方が軽くなり、ほわ~っと膨らんで拡がったような感じになり。
反対にさすっていない方の腕は、棒のように重く、キュっと締まったような感じ。
そう、あのイメージ図と一緒なんですよね。
澱んだ体は感覚が鈍くなりますが、逆にその鈍った感覚が目覚めてくると、澱みが流れて澄んでくるんです。
さすることで感覚が蘇り、徐々に凝りも解消されいく・・・。
江戸時代後期、按摩の技は「揉む」こと中心になりましたが、それ以前の按摩は「さする」ことが中心の技でした。
按摩の古典「導引口訣鈔」の「導引根源の訓(おしえ)」に次のようにあります。
『諸々の病いずれが根本原因なるや。
曰く。
つかえ滞るによりて起こるなり。』
そして「導引口訣鈔」の中に書かれている按摩手技のほとんどがさする技。
さすることで凝りがほぐれたり体が軽くなるって、ほんとお手軽。
体が重だるい時なんかは、ほとんど膝から下が澱んでいますから、脛やふくらはぎ、足を気持ちよく丁寧にさすってあげると、かなり快適になります。
やり方は「その人なりに気持ちよくさする」がベスト。
さする場所も「やりたい場所をやりたいだけ」。
気が向いたら是非お試しあれ。(^o^)/
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