古法按摩の摩(な)でる技
古法按摩の最大の特徴は「摩(な)でる」手技にあります。
按摩の古典「導引口訣鈔」に出てくる手技の半分以上が「摩で」「摩づ」であり、場所によっては「百返」も「数十返も摩す」、「横にも縦にも、すじかいにも専ら摩する事」などとあります。
また、同じく按摩の古典「按腹図解」には、「調摩の術」として「其の部位を重からず軽からず、疾(はや)からず遅からず、肉理(にくすじ)に循(したが)いて数回(いくたび)も調摩循撫(じゅんぶ)するなり」とあり、こちらも「摩でる」手技が多く見られます。
古法按摩マニアとしては、なんとかこの「摩でる」技を自分の仕事にも取り入れたいのですが・・・。
そこはそれ、「揉む」技中心の現代按摩に、軽く「摩でる」だけの手技を導入するには、けっこう勇気が必要だったりします。
慣れ親しんだ「揉む」技には確かな「手応え」が感じられる訳ですが、皮膚の上を撫でさするだけの手技には、急にはその「手応え」が感じられない訳で。
ひとまず、数年前からは、治療の終盤にうつ伏せで体全体を撫でる技を導入。
体表の感覚を「流す」感じで、けっこう手応えも感じつつ行えるようになりました。
ところで、今年4月あたりから「按摩の歴史」を書き始めたのですが。
いろいろな資料を読み返しつつ「導引口訣鈔」や「按腹図解」も読み返し、独り按摩としてこの「摩でる」技を試みはじめ。
意外にもかなり効果的であることを実感。
自分でその効果が実感できれば、実際の治療に当たっての「手応え」も得やすくなります。
というわけで、1、2ヶ月前から、そろりそろりと治療の中にも「摩でる」を導入。
治療の終盤にベットに腰掛けてもらい、頭から首、肩、鎖骨周辺、腕、背中、腰、足へと撫でてます。
特に、頭に対しては、指の腹で撫でるのではなく、指を立てた状態の爪先で撫でる感じ。
これは昔、インドで仲良しだったマッサージ爺さんの技。
インド由来の頭皮マッサージも含めて、今後も古法按摩の技を試みていくつもりです。
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