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2011/11/30

按摩笛の流れる風景

前々回の投稿でせっかく実際の按摩笛の音色を聞くことが出来たので。
按摩笛の音色が流れる江戸時代やそれ以降の風景を見てみたいです。

「嬉遊笑覧」(1830年)からの引用。
「太平樂府」(1769年)からの引用文を指して

これは明和六年(※1769)の撰である。 当時珍しいことかも知れない。

と書いています。

江戸時代の中頃で按摩笛が珍しいこととされていますから、江戸では1760年代頃に流しの按摩がはじまったのかも知れませんね。
その「太平樂府」(狂詩集)の引用文がけっこうイケてます。
当時の情景が目に浮かぶようで。

按摩痃癖(けんぺき)、あし笛を吹き去る。饂飩蕎麦、火を焚き行く。

きっと日も落ちた夕暮れ。
按摩さんが笛を吹きながら去っていき、その後をうどんそば屋の担ぎ屋台の火が流れていく……。
そんな情景なのではないでしょうか。

次ぎは江戸時代の俳人、小林一茶(1763-1827)の句。

笛ぴいぴい杖もかちかち冬の月

寒くてシンとした空気。

寒くてシンとした空気といえば、明治生まれ泉鏡花 「歌行燈」の一節。

釜の湯気の白けた処へ、星の凍てそうな按摩の笛。
月天心の冬の町に、あたかもこれ凩(こがらし)を吹込む声す。
門附の兄哥は、ふと痩やせた肩を抱いて、
「ああ、霜に響く。」……と言った声が、物語を読むように、朗らかに冴えて、且つ、鋭く聞えた。
「按摩が通る……女房おかみさん、」
「ええ、笛を吹いてですな。」
「畜生、怪(け)しからず身に染みる、堪らなく寒いものだ。」

最後はちょっと関係ないですが、こちらも明治時代。
日本で最初の人類学者・坪井正五郎の笑話随筆集『自然滑稽 うしのよだれ』から。

按摩の笛

按摩が笛を吹いて歩いて居るのを目撃した西洋人曰く
「日本では盲人が一人で歩く時には他人に突き当たる事を防ぐ為に注意の笛を吹く」

今回と前々回投稿記事も含めて、按摩笛関連は「日本における按摩の歴史2」にまとめてあります。

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コメント

寒くなってきました~。
その小林一茶の句が目に浮かびやすいです。
月はおそらく半月より細い。
昔は夜が暗くて、まださほど満ちてない月でもけっこう明るかったんじゃないでしょうか?
笛の音に、三日月よりちょっと太い月が冬の空に・・・寒っ。

西洋人の見方には笑います。
puruさん色々読んでますね~。

投稿: 玉兎 | 2011/12/03 09:37

亀レス。(^^ゞ

>月はおそらく半月より細い。
>昔は夜が暗くて、まださほど満ちてない月でもけっこう明るかったんじゃないでしょうか?
>笛の音に、三日月よりちょっと太い月が冬の空に・・・寒っ。

おぉ、素敵なイメージ^^
すごい、すごい。

ぼく、どうも俳句心が貧困で。(^^ゞ
どちらかといえんば詩の方が入り込みやすいみたい。

>西洋人の見方には笑います。

西洋人らしい実用的な解釈。

>puruさん色々読んでますね~。

いえ、国会図書館のデジタルアーカイブを「按摩」で検索してヒットしたものだけなの。おほほ

最近検索したら、またまたデジタルデータが増えていて。
読みたいものがいっぱい^^

投稿: puru | 2011/12/06 18:17

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