年齢が70代や80代にもなり老化してくると、皮膚や皮下組織が薄くなり弾力もなくなって澱みやすくなります。
それでも体全体の流れが良いと、皮膚や皮下組織の薄さにもかかわらず適度の弾力やさらさら感があるのですが・・・。
80代男性の按摩。
皮膚や皮下組織は痩せて澱んでいます。
体の表層全体には、ねばーっとした食肉の感触。
昭和世代は、体の感覚を無視しがちで、体はある意味意志や目的を達成するための道具のようになっており。
結果、体は道具的物的硬さを持つようになっていたりします。
そんなわけで、皮膚が澱んでいる上にそういった物的硬さもありました。
足の指の感触は、喩えてみれば硬い角質に覆われたカカトの感触。
ふわんとした生もの的感触はありません。
ガッチリとゴツゴツした固体の感触。
こんな指を揉もうとする時、まず足指の付け根を持つのがひと苦労です。
指が硬くて、なおかつ隣の指との間に隙間がないので、こちらの指で相手の足の指を包み込むように密着させるのが難しいのです。
(ちなみに、足の指に触れた瞬間、その感触から体全体の様子がある程度わかります。特に下肢の状態は足の指に顕著に反映されます。)
背中から腰の背骨も一本の棒のようで、たわんだりする柔らかさは皆無です。
背中を按摩している時、背中の筋肉と背骨は揉んでいる指をはね返すように硬直した体。
二日目に「今日は昨日と揉み方が違うだろ」と言います。
聞いてみると、昨日は特に感じなかったけれど、今日はあちこち痛いみたい。
そういえば、ある箇所では「くすぐったい」と言っていました。
二日目は初日と比べて、体全体の表層に柔らかい表情が出はじめていたので、初日よりも鈍くて眠っていた感覚が目覚めてきたのだと思います。
指もみで指を持つ時も、初日よりすんなりと密着出来るようになっていました。
三日目には表層の澱みの中にさらさら感が生まれ、皮一枚分くらい厚さが増した感じ。
途中「お、眠った。眠ったのははじめてだ」と仰っていました。
四日目、全体的に按摩する指が体に沈み込むようになり、物的体からやっと生き物の体になってきた感じです。
五日目、「けっこう凝りのひどい人」的なところまで来ました。(^^;
皮膚や皮下組織も、薄いながらもふんわり感になり。
按摩後のゆらしでは、初日は丸太のようだった体が、全体的に波打つようにゆれるようになりました。
ひと安心。^^
朝起きる前、フトンの中で2、3回「う~ん!」と伸びをするよう、伸びが終わってから起きあがるように指導。
これを毎日続けて習慣化すれば、体はすんごく柔らかくなります。
特に昭和世代には効果的。
(ぼく自身、毎日やってます。時には20、30分くらい。)
体操やストレッチとは異なり、伸びは全身が協調的に流れるように動くので、全身のエネルギーが容易にリリースされます。
力強く発散的に伸びてもいいですし、丁寧に繊細に伸びても、どちらでもよいです。
一日置いて、明日按摩するのが楽しみ。
今回は身内ということもあり5日連続の按摩になってしまいましたが、連日の按摩も興味深かかったです。
謙虚に丁寧に体に触れていれば、体は自ずと目覚めはじめるということが。
あらためて確認出来ました。
硬さや澱みを責めることなく、治療したり矯正するのではなくて、尋ねるように触れる。
ぼくは、当面はこれで歩いていきましょう。
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